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2022年12月

バス地獄

バス車内が地獄と化した。 順を追って話そう。 朝通勤のバスに乗り込むと、乗客はまだひとりもいなかった。この時間のバスは発車時刻よりも大分早めに来ているようだ。寒い中でもギリギリまで乗客を待たせる便もあ […]

『ある行旅死亡人の物語』のご紹介

ある行旅死亡人の物語©毎日新聞出版 本書は、取材した共同通信記者である武田惇志氏と伊藤亜衣氏の共著です。毎日新聞出版から出ています。 身元の分からない死者は「行旅死亡人」と呼ばれます。兵庫県尼崎市のア […]

中年の危機

歳をとったな、と思うこの頃です。 近い年代のひとと昔ばなしをしていたときのこと。なにか昔流行った遊びのことで話に花が咲きました。 それを見た上の世代の方に、「昔ばなしなんてして!」とあきれられるという […]

存在の数値

存在の数値を高めようとすれば、それを抑え込もうという動きがうまれる。 争いのない世界の実現を願うが、それは完全に停止した世界でしかありえない。 まだ見ぬユートピアとして思い描くものは、ありえるかもしれ […]

Fのこと

Fという友人といえば友人だが単なる知り合いだと言えばそうとも言える存在がいた。そんなくらいだから、向こうもこちらを友人と思っていないだろう。 Fの思い出を述べたい。 以前、金八先生のDVDセットを代わ […]

平凡に生きたいですか?

突然ですが、平凡に生きたいですか? そう聞かれたら、みなさんは戸惑いますか?私はちょっと戸惑います。 若い頃「平凡な人生が一番だよ」と年長者に言われ、反発を覚えたものでした。しかし、あるとき私よりも一 […]

少数派の我慢

私の職場は港湾の埋立地にあった。近くには物流施設、化学工場、郵便局などがあり、どれもが大規模なものだ。 パンデミックとなり、換気のため窓を開けることになった。 ところが、化学工場からの悪影響を杞憂し換 […]

「道をきく」ことにまつわるエピソード三選

ひとに道をきいたりきかれたりしたとき、色んな人間模様が現れますよね。 そこで、「道をきく」ことにまつわるエピソードを三つお届けします! 美容室で 母の知り合いの美容師さんがやっているお店で、息子さんに […]

終着駅

「妙に乗客の数がすくないな」そんなことを思ったのが最初だった。 各駅停車でひとりまたひとりと乗客が降りていく。気づけば、向こうの端の優先席に座る老人と私だけになっていた。 「おきなさい」 体を揺さぶら […]

カレーの苦い思い出たち

みんな大好きなカレー。食べる機会も多いので、カレーにまつわる色んな思い出がありますよね。そのなかで、ちょっとだけにがい思い出を。 【その一】いつだったか、吹田の市民会館でのこと。 そもそも市民会館に何 […]

哀歌

根源的に意味を欠いた世界では 金持ちも貧乏人もともに ほんとうには生きてはいない 世界が地獄のちゃちな模型だと 言うのであれば まだしも意味を持ってはいる 「共生だよ」と 力なく笑うベケットに 怒って […]