アマゾンプライムやネットフリックスなどのサブスクリプションは、その利用者が一生をかけても観終わらないほどの膨大な量のコンテンツを内蔵している。
これは、そんなにたくさんあっても観ることはできないというナンセンスを露呈している。
ナンセンスというのは、品揃えの豊富さが消費者の欲望がまったく追いつかないほどに高まることで、消費者にとって意味を欠いたものになってしまったということだ。
これだけのコンテンツを提供しなければならないのは、人間がかつてなく退屈していて、とにかく暇つぶしを必要としており、根源的に意味を欠いた世界で生きるむなしさを埋め合わせなければならないからである。
世界で人類が生きてきた歴史を「コンテンツ」としてあらためて捉えてみれば、それを必要とした神様というのは、恐ろしいまでの倦怠を内に持った、無限の悲しみにくれた存在なのではないか。
歴史というコンテンツが終わることがないのは、すでに終わってしまったがゆえになお終わることなどできないからである。
それが、永遠に終わりつづけるということなのだろう。
世界の歴史は、無限の悲に沈む神の慰めであり、それはけして終わることなく終わりつづける。
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