映画『ヴェルクマイスター・ハーモニー』のこと

わたくしことくまちゃがこの映画を観たのは、10年以上前のことだったと思います。

場所は、「第七藝術劇場」。
通称ナナゲイといいまして、大阪の十三にある映画館です。
採算のとりにくいマニアックな作品も頑張って上映されている、ありがたい存在のミニシアターです。

ストーリーはあるようで無いようなもので、天文学を愛好する青年と、彼が世話をする老音楽家を中心に映画はすすんでいきます。

寂しい街にクジラの見世物がやってくるという噂が流れます。それとともに怪しげな扇動者が悪事を働くのではないか、とも。
老音楽家のかつての妻は権力者側にいて、暴動を起こすものたちを取り締まるようでいて実は操っていたのではないか、ということを匂わせます。

このあたり実際どうなっているのかはっきりと分かるようには描かれてはおらず、事態が不鮮明のまま、青年が悲劇的な状態へと向かってしまいます。

これ以上は書きませんが(ネタバレになってしまうので)、主人公の青年をヘリコプターが追いかける場面や暴動の行進の場面、裸の痩せた老人を目にして暴動者たちが引き返すところなど、とにかく見どころがとても多い映画でした。

抗議、抵抗ということを真剣に考えるひとにとって、この映画は切実なものを感じさせる、としか言えないのではないでしょうか。逆に言うとこれを観てもつまらないという人には、もう何も言うことはできない、ということでしょうか。