映画『お引越し』のご紹介

映画『お引越し』(1993)は、両親の離婚を経て変わっていく小学生レンコを描いた、
相米慎二監督作品です。
主役を演じたのは、当時11歳だった田畑智子。両親は中井貴一と桜田淳子が演じていて、とくに桜田淳子はこのあと統一教会に入るので最後の出演作品となっています。

揺れ動く少女の気持ちと葛藤、そして心の成長を、主演の田畑智子が見事に演じています。
まさにこのときでしか、という一瞬のきらめきがフィルムに焼き付けられています。

田畑が主演をつとめることになったきっかけは、監督らスタッフが京都の料亭を訪れたこと。その料亭の娘である田畑を見た監督が、オーディションを受けるように言ったのです。
おそらく一目ぼれであったのでしょう。
この出会い自体が、劇的なものに思えます。

音楽もいいし、琵琶湖の花火を見に行く場面が、とてもいい。
滋賀県大津市の瀬田には、「船幸祭」という祭祀があり、それがこの映画の重要な局面の
背景にもなっています。

役者たちの演技、セットや小道具もよく映画を引き立てています。

映像詩に酔いしれてみるのはいかがでしょうか。