エドワード・ヤン『台北ストーリー』

『台北ストーリー』(1985)は、エドワード・ヤン監督の台湾映画です。
変わりゆく大都市・台北ですれ違う男女の恋愛を描いた傑作です。

台湾ニューシネマの旗手となった人々が結集して作り上げた作品、それが『台北ストーリー』です。

主演のホウ・シャオシェンは映画監督でもあり、のちに『悲情城市』などの傑作を世にだしています。日本では映画祭などで上映されたものの長らく劇場未公開でした。しかし、エドワード・ヤン生誕70年となる2017年に、4Kデジタルリストア版で劇場初公開が実現しました。

舞台は1980年代の台北。少年時代にリトルリーグのエースとして期待されたアリョン(ホウ・シャオシェン)は、実家の家業を継いでいる。恋人のアジン(ツァイ・チン)は、不動産デベロッパーとして働くキャリアウーマン。

過去にとらわれる男と、未来に目を向けて生きる女の擦れ違いが、急激な変貌をとげなお変わり続ける都市・台北とともに鮮やかに描かれます。

時代の荒波に翻弄されて生きる姿は、現代の日本の私たちにも全くもって通じ合う、人々の普遍的な在り方を見事に映しだしています。
切実なものを、観るものの心に刻み込むかのようです。

ほろ苦い恋愛模様と切ない物語、という以上の、とても大きな普遍的なものを表現しつくしています。胸をうたれることは、これは間違いありません。

この機会に、ぜひ観ていただきたいです。